つい「他人が持ってるもの」が気になってしまう脳の仕組みが解明される



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  • 他人の報酬と比べて満足度が変化するのは、サルも同じ
  • 脳の一部である「視床下部外側野」の働きをを遮断すると、他者に左右されなくなる

自分の報酬に対する満足感は、他人の報酬によって変化するものです。

同僚たちよりもたくさん給料をもらっているなら自分の給料の額に満足するものですし、仕事への意欲は高まります。

逆に、同僚たちの中で一番給料が低いならどうでしょうか。不満が溜まり、仕事への意欲が低くなってしまうこともあるでしょう。

このように「他者のものが気になってしまう」のはなぜなのでしょうか?

自然科学研究機構生理学研究所の磯田昌岐教授らの研究グループは、脳の視床下部外側野が「他者の報酬情報」を考慮して主観的価値に変化を与えることを発見しました。

研究の詳細は2月24日「PNAS」誌に掲載されました。

価値を決めているのはどこ?

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脳には「視床下部外側野」と呼ばれる、空腹時の食欲や食物の摂取などの本能行動を引き起こす部位があります。

これまでの研究で、視床下部外側野は「自分の身体に必要なものを入手する」役割を担い、「手に入れたものが、自分の必要を満たすかどうか」判断することがわかっています。

しかし、自分の報酬の価値は他人によって変わるものです。

果たしてこの部位は、「他人の評価」は行わないのでしょうか?

実は先行研究でも、視床下部外側野が「他者」を含む情報処理にも関与することが示唆されていましたが、具体的に他者のどのような情報を処理するかは分かっていませんでした。

今回の研究は、この点に注目し、視床下部外側野が主観的価値の変化にどのように影響しているか調査をしたものです。

サルも人間と同じように「他者のものが気になる」

最初に、研究者たちは、サルも他者のものが気になるのかを調べました。

2匹のサルに報酬(ジュース)を与え、その時の満足度(主観的価値)が相手との差に応じて変化するのかを調べたのです。

サルは、自分だけの報酬が良くなった場合に満足度を大きく向上させました。

また、自分の報酬には変化がなくとも、相手の報酬が良くなればなるほど、満足度が低下していきました。。

これは、人間が経験する主観的価値の変化と同様だと言えます。

視床下部外側野は自己と他者の情報を処理する

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続いて、主観的価値が変化するときのサルの脳の働きにも注目しました。

観測の結果、研究者たちの予想通り、視床下部外側野がサルの主観的価値を作り出していることが分かりました。

その後、自己報酬と他者報酬に関する情報が送られてきて、視床下部外側野で処理していることも判明しました。

つまり、「他人のものが気になって満足度が変化する」のは、「視床下部外側野が自己と他者の報酬情報の影響を受けている」からだったのです。

このことは、薬物テストでも証明されています。

サルの視床下部外側野の働きを一時的に遮断したところ、サルの満足度は相手の報酬の変化に左右されなくなったのです。

今回の研究はサルによるものでしたが、人間の脳科学に応用できるものです。視床下部外側野の研究によって、人の判断機能の更なる解明が期待されています。

意識の発生源がわずか3ミリの脳組織であることが判明

reference: nips / written by ナゾロジー編集部
つい「他人が持ってるもの」が気になってしまう脳の仕組みが解明される


(出典 news.nicovideo.jp)